CYCLESPORTS 2007.01
どんなふうに乗れば効果がでる? ライバルに差をつけるローラー台活用法
ローラー台を使った基礎トレーニング
サイクルスポーツ掲載 2007年1月号
CYCLESPORTS Content

冬の寒い時期に外を走るのは正直つらい。仕事で練習に時間がとれない人ともなるとなおさら。そんなときにローラー台が役に立つ。スーパーKアスリートラボの北見裕史トレーナーが、誰にでもできる固定式ローラー台の有効利用法の基礎を解説してくれた。
1. トレーニングの基本 何もしないより、ローラー台に乗ろう!
 トレーニングは身体に送り込む血液量(心拍出量)を増やすのが最大の目的。そのためには以下の式を理解しておこう。
心拍出量=1回拍出量×心拍数
 1回拍出量とは1拍あたりに心臓が送り出す血液のこと。これは「心臓の大きさ」にあたり、LSDトレーニングで増やすことができる。
 また、心拍数はいかに「レスポンスのいい心臓」かどうか。こちらはインターバルトレーニングで鍛えることが可能だ。
 ただし、2つのトレーニングを同時に行なった場合はインターバルトレーニングのほうが勝るため、長期的にみるとロード乗りの期待する効果が得られない。なぜなら、トップライダーにとっては、1年間走りきるだけの「心臓の大きさ」のほうが重要なため。冬の期間もトップライダーは、長時間にわたって外を実走するLSDトレーニングに徹する。
 では、時間の限られた一般ライダーはどのような練習ができるのか。
 北見トレーナーはそのキーワードは「日常労作」だという。日常労作とは、普段私たちの生活の中で行なっている運動量のこと。LSDトレーニングの基本は日常労作より強い運動を行なうこと。つまり、普段まったく運動していない人にとっては、ローラー台に一日30分週2回乗り続けるだけでも効果があるというわけだ。
 基本は楽なポジションで自分の通常の運動量を超える時間を乗り続けること。心拍数は110拍/分くらいを維持し、過度な負荷はかけない。ただし、効果が現れるまでには3週間以上続けることが肝心だ。
 トレーニングの効果が出ているかどうかは、寝起きの安静脈の数値を測ってみよう。当初60拍/分だった人が48拍/分ぐらいまで値が下がっていたらそれは心臓が大きくなり始めている可能性がある。この数値を励みにトレーニングに取り組もう。
 逆にどうしても目標のレースまでに時間が取れない人は、インターバルトレーニングを取り入れたメニューを参考に自分のできる範囲内でトレーニングをしてほしい。
2. 体幹チェック法  ローラー台があれば、こんなことも出来る!
 近年注目されているコア(体幹)トレーニング。「自転車の場合はサドルに座りハンドルを握っているため、パッと見は体幹がぶれていないように見えます。しかし、実際は身体の軸を保つのにどんな余計な力がかかっているかわかりません」と北見トレーナーは言う。そんな体幹チェックがローラー台で簡単にできる。
 チェック方法は3段階。まず、上半身を起こした姿勢で手を脚の回転に合わせて振ってみて、それをやめたときに肩が動くかどうか。これで、肩が動いたり脚が止まってしまうようだと上半身と下半身のバランスが取れていない。
 次に手を後ろに回し、スケート選手のような姿勢でペダルをこいでみよう。その際、上半身が保てているだろうか?
 さらに下ハンドルを握る姿勢で、1cmほど放したままキレイにペダリングができれば上級者だ。最初は3分を目標に徐々に時間を延ばしていこう。定期的にチェックをしてみて、長く時間が保てるようになっていれば、体幹が強くなり全身の力を効率よく伝えている証拠だ。
3. 4月のレースに向けて 短期決戦トレーニングメニュー
 心臓を大きくしたいと考えている人にとっては地道なLSDトレーニングの継続が必須なのは前途のとおり。しかし、あえて短時間のうちにタイムを縮めたい人に向けて、インターバルトレーニングを含めた3ヶ月で結果の出せるトレーニングメニューを北見トレーナーに作ってもらった。以下の3つの表がそれだ。
 想定の目標レースは上り勾配のキツい伊豆・修善寺で行なわれるチャレンジロード(15〜30km)。練習時間は土日のいずれか1日の実走練習と、平日1時間以内でできるローラー台練習を週2回行なう。
 基本は実走の週末ロード。レースをローラー台だけで乗り切ることは無理なため、最低90分以上のLSDトレーニングを週末に行なう。
 次は一定負荷を用いたローラー台トレーニング。これは決められた時間を一定の心拍数、負荷量を保ちながら回し続けるというもの。今回はローラー台の負荷調整機能は使わず、自転車のギヤ数を負荷の目安とした。
 最後はインターバルトレーニング。これは本番のレースに備えて少しずつ心拍数を上げて乗り切ろうというもの。通常はLSDトレーニングと同時にすることはないが、目標の定まった今回のような短期トレーニングには有効だ。
 トレーニングは、下のメニューのように少しずつ運動量を増やすことで体が適応できる運動範囲を広げていく作業だ。言い換えると、同じ運動量を続けても効果はない(過負荷の原則)。通常の運動量(日常労作)を超える運動が刺激になって初めて体が危機感を覚え、今までの1回拍出量を増やしたり、または心拍数を上げたりすることに繋がる。
 北見トレーナーは「もし、目標の大会が6ヶ月後に控えているのであれば、LSDトレーニングで長い距離を走ることを勧めます。ただし、国内の参加レースで長距離走ることは少ないので、インターバルトレーニングでスピードを上げるやり方でも勝てる場合があります」と言う。
 最後に、ローラー台練習で注意しなければならないのは水分補給。15分ごとに水を補給し、1時間で500mlのボトルを空けるくらいを目安に頻繁に行なおう。
 自分の目的に応じたトレーニングメニューを作ってこれからの時期から春先にむけてローラー台を有効に活用してほしい。
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